川口市立芝富士小学校
いじめの防止等のための基本的な方針
令和4年
川口市立芝富士小学校
目次
はじめに
第1 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項
1 いじめの防止などの対策に関する基本理念
2 いじめ防止対策推進法における「いじめの定義」
3 いじめの防止等に関する基本的な考え方
第2 いじめの防止等のための対策の内容に関する事項
1 いじめの防止等のために本校が実施する施策
(1)芝富士小学校いじめ防止基本方針の策定
(2)いじめ対応教員の任命
(3)本校におけるいじめの防止等の対策のための組織の設置
(4)本校におけるいじめの防止等に関する措置
2 重大事態への対処
(1)重大事態への対処の流れ
(2)川口市教育委員会又は本校による調査
第3 その他いじめの防止等のための対策に関する重要事項
<資料> 年間行事予定
はじめに
児童生徒が一人の人格として尊重され、夢や希望を持って、すこやかに成長することが、学校・家庭・地域を含めた我々多くの国民の願いである。しかし、いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害するばかりでなく、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与える。さらには、時として、その生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれもあるものである。それゆえ、いじめ問題への対応は学校や教育委員会ばかりではなく、社会全体で解決しなければならない最重要課題となっている。
こうしたいじめの問題から、一人でも多くの児童生徒を救うためには、教職員をはじめ、保護者や地域住民一人一人が「いじめは絶対に許されない」、「いじめは卑怯な行為である」、「いじめはどの子供にも、どの学校にも起こりうる」との認識を持ち、それぞれの責任を自覚し、役割を果たしていかなければならない。
川口市では、平成7年に教育局、さいたま人権擁護委員協議会川口部会、警察等が連携して「川口市いじめ問題対策協議会」(以下「対策協議会」という。)を設置し、いじめの防止、早期発見及びいじめへの対処(以下「いじめの防止等」という。)についての協議を行ってきた。また、平成24・25年には、それぞれ「川口いじめ根絶宣言」を行い、「いじめは絶対に許さない」、「子供たちを守る」という強い決意の下、市民総ぐるみでいじめ撲滅に徹底的に取り組み続けることを宣言したところである。
これに基づき、川口市では、対策協議会や教育委員会において、いじめの防止等に向けた様々な対策を決定し、取り組んできた。
川口市いじめの防止等のための基本的な方針(以下「いじめ防止基本方針」という。)は、これらの対策を更に実効的なものとし、児童生徒の尊厳を保持する目的の下、国・県・市・学校・家庭・地域その他の関係者が連携し、いじめ問題の克服に向けて取り組むよう、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第12条の規定に基づき、いじめ防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するために策定するものである。
※基本方針の改定
本いじめ防止基本方針は、平成29年4月1日に施行された川口市いじめを防止するためのまちづくり推進条例(平成28年川口市条例第70号。以下「条例」という。)及び埼玉県いじめの防止等のための基本的な方針の改定の内容を反映し、改定するものである。
第1 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項
1 いじめの防止等の対策に関する基本理念
いじめは、いじめられた児童生徒の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為であることを全ての児童生徒が十分に理解し、一人一人に、いじめを「しない」「させない」「見逃さない」という、認識を持たせる必要がある。
また、いじめは全ての児童生徒に関係する問題であり、いじめの防止等の対策は、全ての児童生徒が安心して学校生活を送り、様々な活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わず、総合的かつ効果的に推進しなければならない。
このことから、いじめを防止するには、特定の児童生徒や学校だけの問題とせず、広く社会全体で真剣に取り組む必要があるとともに、いじめ防止基本方針では、学校はもとより、市や家庭、地域社会、その他の関係諸機関がそれぞれの立場を自覚しつつ、相互に連携を図り、一体となっていじめの防止等に取り組むものとする。
2 川口市いじめの防止等のための基本的な方針における「いじめの定義」
本いじめ防止基本方針において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットその他の電気通信技術を用いる方法により行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
3 いじめの防止等に関する基本的な考え方
いじめは、どの児童生徒にも、どの学校にも、また学校外でも起こりうるものである。そのため、いじめを防止するためには「未然防止」「早期発見」「早期対応」の3つの観点から、学校・家庭・地域その他関係者が連携を図りながら取り組む必要がある。
特に学校においては、いじめの防止等のための具体的な実施計画や実施体制を定め、家庭・地域と一体となって対策を推進することとする。
本いじめ防止基本方針において「学校」とは、川口市立芝富士小学校をいう。
第2 いじめの防止等のための対策の内容に関する事項
1 いじめ防止等のために本校が実施する施策
(1)芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針の策定
【法】
第13条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。 |
【条例】
第11条 学校は、いじめの防止等を図るため、次の各号に掲げる措置を講ずる。 (1) いじめの防止等を目的とする当該学校に在籍する子どもの自主的活動に対する支援 (2) いじめの防止等のために行う他の学校との間における必要な情報の共有及び連携協力 (3) 当該学校に在籍する子どもがいじめについて主体的に考え、行動するための力を育成する取組 |
本校は、法の趣旨を踏まえ、国の基本方針、県の基本方針、市の基本方針を参酌し、本校の実情に応じ、本校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定める。
芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針では、本校の実情に応じ、いじめの防止等の対策の基本的な方向を示すとともに、いじめの防止や早期発見、いじめへの対処が、本校において体系的かつ計画的に行われるよう、講ずるべき対策の内容を具体的に記載する。
また、いじめの防止等に係る日常的な取組の検証・見直しを図る仕組みや、本校におけるいじめの防止に資する啓発活動や教育的取組を具体的に定める。
更に、取組の実効性を高めるため、芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針が、本校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて見直す、というPDCAサイクルを盛り込む。
具体的には、以下のとおりとする。
ア 生徒指導委員会の実施
本校では校長、教頭の管理職を含む校務分掌の生徒指導部の部員を構成員とした生徒指導委員会を組織している。各学年の児童の実態の把握や教師間での共通理解・共通行動・共通指導の徹底を図るために、報告、話合い、協議等の場を月1回設けている。
イ 児童理解研修会の実施
年度始め、年度終わりの年2回、問題行動のある児童や配慮を要する児童等について教職員全体で報告、話合い、協議等を行う場を児童理解研修会として設けている。教職員全体でそれらの児童の共通理解を図ることにより、教職員が児童に一貫した指導を円滑に行えるように努めている。
ウ 学校・学級生活アンケートの実施
いじめ等の未然防止や早期発見等の手立てとして、各学期末に1回「学校・学級生活アンケート」を実施している。アンケートの中で児童間でのトラブルに関わることなどがあれば、学級指導、個別指導などを行い、管理職に報告する体制をとっている。
芝富士小学校は、国や埼玉県のいじめ防止基本方針、本いじめ防止基本方針並びに条例を参考にして、どのようにいじめの防止等の取組を行うかについての基本的な方向や取組の内容等を「芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針」として策定する。芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針には、いじめの防止のための取組、早期発見・いじめ事案への対処の在り方、教育相談体制、生徒指導体制、校内研修などを定めることが想定され、いじめの防止、いじめの早期発見、事案対処などいじめの防止等全体に係る内容であることが必要である。
芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針を定める意義としては、次のようなものがある。
・芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針に基づく対応が徹底されることにより、教職員がいじめを抱え込まず、かつ、学校のいじめへの対応が個々の教職員による対応ではなく組織として一貫した対応となる。
・いじめの発生時における学校の対応をあらかじめ示すことは、児童生徒及びその保護者に対し、児童生徒が学校生活を送る上での安心感を与えるとともに、いじめの加害行為の抑止につながる。
・加害者への成長支援の観点を基本方針に位置付けることにより、いじめの加害者への支援につながる。なお、策定に当たっては、次の点に留意する。
ア 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針の中核的な内容としては、いじめに向かわない態度・能力の育成等のいじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりのために、包括的な取組の方針を定めたり、その具体的な指導内容のプログラム化を図ったりする。
イ 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針では、「早期発見・事案対処のマニュアル」を定め、それを徹底する具体的な取組を盛り込む必要がある。同時に学校いじめ対策組織の行動計画となるよう当該組織の活動が具体的に記載されるものとする。
ウ いじめの加害児童生徒に対する成長支援の観点から、加害児童生徒が抱える問題を解決するための具体的な対応方針を定めるよう努める。
エ 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針が、当該学校の実情に即して適切に機能しているかを学校いじめ対策組織を中心に点検し、必要に応じて見直すというPDCAサイクルを盛り込んでおく必要がある。
オ 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針に基づく取組の実施状況を学校評価の評価項目に位置付け、その評価結果を踏まえ、学校におけるいじめの防止等のための取組の改善を図る必要がある。
カ 策定に当たっては、自校の課題を洗い出し、教職員や学校関係者の認識の共有を図る。
キ 児童生徒や保護者・地域住民・関係機関等を巻き込みながらの策定に努める。
ク 未然防止の取組には、学校の全教育活動に関わることを意識し、全教職員の児童生徒の様子や変化等を見抜く力を高めるための方策を盛り込む。
ケ 未然防止の観点からも、いじめに関するアンケート調査を年間複数回実施するよう努める。(ただし、アンケート調査の結果だけに頼らない。)
コ 11月が埼玉県におけるいじめ撲滅強調月間であることから、児童生徒を主体とした取組を
11月にも位置付けるよう努める。
サ 重大事態への対処については、本いじめ防止基本方針を参考に迅速な対応ができるようにする。(重大事態が発生した場合のシミュレーションを全教職員で行っておく。)
シ 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針により、個々の教職員がそれぞれの教育活動の中でいつ、何をどのようにすべきかが分かり、保護者や地域がどのような協力をし、学校として児童生徒をどのように育てようとしているかが分かるようにする。
ス 策定した芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針については、ホームページへの掲載等により、保護者や地域住民が内容を容易に確認できるようにするとともに、入学時や各年度初めに児童生徒、保護者、関係機関等に説明する。
(2)いじめ対応教員の任命
【条例】
第12条 市立学校は、当該市立学校におけるいじめの防止等に関する責任体制を確立するため、 次条に規定する事項を担当する教員(以下「いじめ対応教員」という。)を置く。 2 いじめ対応教員は、当該市立学校校長が任命する。 |
【条例】
第13条 いじめ対応教員は、校長の命を受け、次の事項を担当する。 (1)いじめに関する情報を教職員で共有するために必要な措置を講ずること。 (2)子ども、保護者、子ども関連団体、市民等からのいじめ(いじめの疑いがあると認める場合を含む。)に係る相談に応じ、助言そのほかの措置を速やかに行うための会合を開催すること。 (3)いじめの防止等のための措置を講ずるため必要な場合には、いじめ対策委員会を招集すること。 (4)いじめの事実があると疑われる場合において、いじめの事実の有無に関する調査をし、必要な措置を 講ずること。 (5)子ども関連団体又は関連機関等に対し、いじめ防止等のために必要な措置及び協力を求めると。 (6)次章に定める川口市いじめから子どもを守る委員会やその他の機関と連携して、いじめに関する調査又は調整活動を行い、これらの機関に協力すること。
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【条例】
第14条 市立学校は、いじめ対応教員に対し、いじめ対策委員会を招集し、主催する権限を付与する等いじめ対応教員がいじめ防止等のための適切な対策を講ずることができるよう必要な支援をしなければならない。 2 市立学校の教職員は、いじめの事実を認めたとき(いじめの疑いがあると認める場合を含む。)は、いじめ対応教員に報告するとともに、いじめの防止等に関する対策に関し、いじめ対応教員に協力するものとする。 |
校長は、当該学校におけるいじめの防止等に関する責任体制を明確にするために、年度当初より「いじめ対応教員」を任命する。
いじめ対応教員は、校長の命を受け、以下の事項を担当する。
ア いじめに関する情報を教職員で共有するために必要な措置を講ずること。
イ 子ども、保護者、子ども関連団体、市民等からのいじめ(いじめの疑いがあると認める場合を含む。)に係る相談に応じ、助言その他の措置を速やかに行うための会合を開催すること。
ウ いじめの防止等のための措置を講ずるため、必要な場合には、いじめ対策委員会(法22条に基づく学校いじめ対策組織、9ページ以下参照)を招集すること。
エ いじめの事実があると疑われる場合において、いじめの事実の有無に関する調査をし、必要な措置を講ずること。
オ 子ども関連団体又は関係機関等に対し、いじめの防止等のために必要な措置及び協力を求めること。
カ 川口市いじめから子どもを守る委員会やその他の機関と連携して、いじめに関する調査又は調整活動を行い、これらの機関に協力すること。
なお、本校は、いじめ対応教員や生徒指導主任、教育相談主任に対し、「芝富士ケース会議」を招集し、主宰する権限を付与する等いじめ対応教員がいじめの防止等のための適切な対策を講ずることができるよう必要な支援をしなければならない。また、教職員は、いじめの事実を認めたとき(いじめの疑いがあると認める場合を含む。)は、いじめ対応教員や生徒指導主任に報告するとともに、いじめの防止等に関する対策に関しいじめ対応教員に協力するものとする。
(3)本校におけるいじめの防止等の対策のための組織の設置
【法】
第22条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。 |
本校は、本校の実情に応じ、いじめ防止等の対策を実効的に行うための常設の組織として「芝富士小学校いじめ問題対策委員会」(以下「芝富士ケース会議」という。)を設置する。
「芝富士ケース会議」は、本校の生徒指導委員会を母体とし、校長、教頭、教務主任、生徒指導主任、学年主任、養護教諭等の中から学校の実情により充て、個々の事案に応じて学級担任や専科担当教諭も加えることができるものとする。
また、「芝富士ケース会議」は学校基本方針に基づくいじめの防止等に関する取組を実効的に行う際の中核となる組織であり、必要に応じてPTA、地域の方など外部専門家等の参加を図りながら対応することにより、より実効的ないじめ問題の解決に資するよう工夫する。
「芝富士ケース会議」は、実際にいじめ若しくはいじめと疑われる事案が発生したときの事実確認や重大事態が起きたときの調査をする組織の母体となるものとし、必要な場合には公平性・中立性を確保するため、川口市教育委員会との連携を図り、専門的な知識及び経験を有する第三者として、地域の方など外部専門家等の参加を図る。
ただし、川口市教育委員会が本校における調査が困難と判断した場合には、川口市教育委員会の川口市いじめ問題調査審議会や川口市の「いじめから子供を守る委員会」による調査を行うものとし、その調査に協力する。
さらに、「芝富士ケース会議」では、本校の基本方針の策定及び教職員間の共通認識の促進、保護者、地域への周知、必要に応じた評価と見直しを担う。「芝富士ケース会議」の具体的な役割は、別貢『いじめ問題への組織的対応図』を参照。
当該組織の具体的な役割は、次の通りである。
【未然防止】
ア いじめ未然防止のため、いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりを行う役割
【早期発見・事案対処】
イ いじめの相談・通報の窓口としての役割
ウ いじめの疑いに関する情報や児童生徒の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有を行う役割
エ いじめに係る情報(いじめが疑われる情報や児童生徒の人間関係に関する悩みを含む)があったときには、緊急会議を開いていじめの情報の迅速な共有、関係のある児童生徒へのアンケート調査や聴き取り調査等により事実関係の把握といじめであるか否かの判断を行う役割
オ いじめの被害児童生徒に対する支援・加害児童生徒に対する指導の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施する役割
【芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針に基づく各種取組】
カ 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正の中核としての役割
キ 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針における年間計画に基づき、いじめの防止等に係る校内研修を企画し、計画的に実施する役割
ク 芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針が当該学校の実情に即して適切に機能しているかについての点検を行い、学校基本方針の見直しを行う役割(PDCAサイクルの実行を含む)
また、芝富士ケース会議は、児童生徒及び保護者に対して、自らの存在及び活動が容易に認識される取組を実施する必要がある。また、いじめを受けた児童生徒を徹底して守り通し、事案を迅速かつ適切に解決する相談・通報の窓口であると児童生徒から認識されるようにしていく必要がある。
(4)本校におけるいじめの防止等に関する措置
【条例】
第6条 学校及び学校長をはじめとする学校の教職員は、自らのいじめの防止等に係る姿勢を示すこと並びに日常の学級づくり及び学習指導の充実が、子どもの教員に対する信頼を生み、子どもと子どもの間のより良い関係の構築につながるとの見地に立ち、必要な措置を実施するよう努めるものとする。 2 学校及び学校長をはじめとする学校の教職員は、当該学校のいじめ対策委員会(法第22条に規定する学校におけるいじめの防止等の対策のための組織をいう。以下同じ。)を中心に、学校全体でいじめの防止等に関する取組を推進するものとする。 3 学校及び学校長をはじめとする学校の教職員は、平素から子どもの様子を細心の注意をもって観察するように努め、いじめの事実の発見に取り組むものとする。 4 学校及び学校長をはじめとする学校の教職員は、いじめの事実を知った場合には、当該学校のいじめ対策委員会を中心に、速やかに適切な対応を講じ、その内容を直ちに市に報告するものとする。
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本校は、川口市教育委員会と連携して、いじめの防止や早期発見、いじめが発生した際の対処等に当たる。
ア いじめの防止
いじめはどの児童生徒にも起こりうるという事実を踏まえ、全ての児童生徒を対象に、いじめに向かわせないための未然防止の取組として、児童生徒が自主的にいじめの問題について考え、議論すること等のいじめの防止に資する活動に取り組む。
指導に当たっては、発達の段階に応じて、児童生徒がいじめの問題を自分のこととして捉え、考え、議論することにより、正面から向き合うことができるよう、実践的な取組を行う。また、その際、
・いじめは重大な人権侵害に当たり、被害者、加害者及び周囲の児童生徒に大きな傷を残すものであり、決して許されないこと。
・いじめが刑事罰の対象となり得ること、不法行為に該当し損害賠償責任が発生し得ること。
等についても、実例(裁判例等)を示しながら、人権を守ることの重要性やいじめの法律上の扱いを学ぶといった取組を行う。
東日本大震災により被災した児童生徒又は原子力発電所事故により避難している児童生徒については、被災児童生徒が受けた心身への多大な影響や慣れない環境への不安感等を教職員が十分に理解し、当該児童生徒に対する心のケアを適切に行い、細心の注意を払いながら、被災児童生徒に対するいじめの未然防止・早期発見に取り組む。
その他、学校として特に配慮が必要な児童生徒については、日常的に、当該児童生徒の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに、保護者との連携、周囲の児童生徒に対する必要な指導を組織的に行う。
児童生徒に対するアンケート・聴き取り調査によって初めていじめの事実が把握される例も多く、いじめの被害者を助けるためには児童生徒の協力が必要となる場合がある。このため、学校は児童生徒に対して、傍観者とならず、学校いじめ対策組織への報告をはじめとするいじめを止めさせるための行動をとる重要性を理解させるよう努める。
また、未然防止の基本として、児童生徒が心の通じ合うコミュニケーション能力を育み、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できるような授業づくりや集団づくりを行う。
加えて、集団の一員としての自覚や自信を育むことにより、いたずらにストレスに捕らわれることなく、互いを認め合える人間関係・学校風土をつくる。
更に、教職員の言動が、児童生徒を傷つけたり、他の児童生徒によるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方に細心の注意を払う。
(ア)教師の言動・姿勢
「いじめの予防」として最も大事なことは「何も起こっていないときの指導の大切さ」である。いじめを未然に防ぐことやいじめが起きたとしても早期に解決が図られるようにするため、教師一人一人が普段の指導について謙虚に振り返る。
また、いじめられている児童生徒の立場で指導・支援を行うためには、
① 児童生徒の悩みを親身になって受け止め、児童生徒の出すサインを、あらゆる機会を捉えて見逃さない。
② 自分の学級や学校にも深刻ないじめ問題が発生しうるという危機意識を持って当たる。
③ いじめられている児童生徒を守り通すことを最優先に指導・支援する。
④ 教師は、日常の教育活動を通して常に児童生徒との信頼関係の醸成に努めることを念頭に置いて対応に当たる。
いじめに関する事例を分析してみると、教師が直接・間接にいじめを生み出している場合がある。教師がいじめの発生に関わっている場合として、
・教師の不用意な一言が「いじめ」の発生を許容している場合
・教師の言動が結果的に「いじめ」の発生を許容している場合
・教師の指導が徹底されず、「いじめ」の土壌を温存させている場合
などがあることに十分留意する。
(イ)学級づくり
児童生徒は学校生活の大半を学級で過ごすため、いじめの発生を防止するには、学級づくりがとても重要であることから、
① 児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう配慮する。
・児童生徒の気持ちを共感的に受け止める。(「先生は自分の気持ちを分かってくれている。」)
・居場所をつくる。
・見守る。(「いつもどこかで先生は見守っている。」)
・基準を示す。(「……してはならない。」だけではなく、「こんなときにはこうするといいよ。」)
② 意欲や元気の源になるエネルギーをたくさん与える。
・分かる楽しさを与える。(「分かった。」と思えたとき、「もっと分かりたい。」というエネルギーがわいてくる。)
・自分のよさや自分との違いのよさを認める。(「これまで気が付かなかった自分や
級友のよさを先生が教えてくれた。」)
③ 「ライフスキルかわぐち」の取り組み等を通して、児童生徒が自分の周りに起こる様々な問題を解決しながら、他者と調和的に生きていくための社会的能力を育てる。
などのポイントを押さえた学級づくりに学校を挙げて取り組む。
(ウ)学習指導
学業不振やその心配のある児童生徒は、学校生活に主体的に取り組む意欲を失いがちになり、そのことがいじめ等の問題行動を生む要因の一つとなっている。
逆に、児童生徒が学習活動の中で学ぶ喜びを味わうことができれば、それが学ぶ意欲につながり、学習活動の中で進んで課題を見つけたり、主体的に考えたり、判断したり、表現したりして解決することを通して、豊かな心やたくましく生きる力を身に付けることができる。
つまり、「学ぶ喜びを味わわせる授業」をすることが、いじめを予防する手立ての一つとなることを学校全体で認識し、授業改善に当たる。授業改善に当たっては、ユニバーサルデザインや特別支援教育の視点も積極的に加味していく。
イ 早期発見
いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることが多い。このことを教職員は認識し、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から的確に関わりを持ち、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知することが必要である。
けんかやふざけ合いであっても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、児童生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断する必要がある。
このため、日頃から児童生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、児童生徒が示す変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つ。併せて、学校は定期的なアンケート調査や教育相談の実施等により、児童生徒がいじめを訴えやすい体制を整え、いじめの実態把握に取り組む。
各学校は、学校いじめ防止基本方針において、アンケート調査、個人面談の実施や、それらの結果の検証及び組織的な対処方法について定めておく必要がある。
アンケート調査や個人面談において、児童生徒が自らSOSを発信すること及びいじめの情報を教職員に報告することは、当該児童生徒にとっては多大な勇気を要するものであることを教職員は理解しなければならない。これを踏まえ、学校は、児童生徒からの相談に対しては、必ず教職員等が迅速に対応することを徹底する。
また、児童生徒に対し、いじめられていることを誰かに相談することは恥ずかしいことではないことを十分に理解させることも重要である。
特に、次の点に留意して、いじめの早期発見に努める。
(ア)「彩の国 生徒指導ハンドブック」にある「いじめ発見のチェックポイント」を活用し、該当する項目があれば児童生徒に声を掛け、該当する項目が複数あるときには、いじめ対応教員や生徒指導主任、学年主任に相談する。
(イ)「彩の国 生徒指導ハンドブック」にある「いじめの見極めと状況別対応」を参考に、いじめの早期発見に向けた校内体制を確立する。
(ウ)「彩の国 生徒指導ハンドブック」にある「いじめの取組のチェックポイント」を活用し、指導体制、教育指導の在り方、早期発見・早期対応に向けた体制、家庭・地域との連携の在り方について学校を挙げて改善に努める。
ウ いじめに対する措置
学校の教職員がいじめを発見し、又は相談を受けた場合には、速やかに、いじめ対応教員、いじめ対策委員会に対し当該いじめに係る情報を報告し、学校の組織的な対応につなげなければならない。教員は、ささいな兆候や懸念、児童生徒からの訴えを抱え込んだり、対応不要であると個人で判断したりせずに、直ちに全て当該組織に報告・相談する。学校の特定の教職員が、いじめに係る情報を抱え込み、いじめ対策委員会に報告を行わないことは、法第23条第1項の規定に違反し得る。
また、各教職員は、学校の定めた方針等に沿って、いじめに係る情報を適切に記録しておく必要がある。
いじめ対策委員会において情報共有を行った後は、事実関係の確認の上、組織的に対応方針を決定し、被害児童生徒を徹底して守り通すとともに、加害児童生徒に対しては、当該児童生徒の人格の成長を旨として、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。
加えて、いじめられた児童生徒の立場に立って、いじめに当たると判断した場合にも、その全てが厳しい指導を要する場合であるとは限らない。例えば、好意から行った行為が意図せずに相手側を傷付けたが、すぐに加害者が謝罪し教員の指導に よらずして良好な関係を再び築くことができた場合等においては、学校は、「いじめ」という言葉を使わず指導するなど、柔軟な対応による対処も可能である。ただし、これらの場合であっても、法が定義するいじめに該当するため、事案を法第22条のいじめ対策委員会へ情報共有することは必要となる。
これらの対応について、教職員全員の共通理解、保護者の協力、関係機関・専門機関との連携の下で、次の点に留意して取り組む。
(ア)いじめている児童生徒への指導(「彩の国 生徒指導ハンドブック」参照)
いじめの内容や関係する児童生徒について十分把握し、人権の保護に配慮しながら、いじめが人間の生き方として許されないことを理解させ、直ちにいじめをやめさせる。いじめの内容によっては、警察等との連携を図る。
(イ)いじめられている児童生徒への支援(「彩の国 生徒指導ハンドブック」参照)
「いじめられる側にも問題がある」という考え方で接することのないように留意する。そこで、本人のプライドを傷付けず、共感的態度で話を親身に聴く。また、日頃から温かい言葉がけをし、本人との信頼関係を築いておく。
(ウ)周りではやし立てる児童生徒への対応
はやし立てることなどは、いじめ行為と同じであることを理解させる。
また、被害者の気持ちになって考えさせ、いじめの加害者と同様の立場にあることに気付かせる。
(エ)見て見ぬふりをする児童生徒への対応
いじめは、他人事でないことを理解させ、いじめを知らせる勇気を持たせる。
また、傍観は、いじめ行為への加担と同じであることに気付かせる。
(オ)学級全体への対応
次の点に留意し、いじめの早期発見、早期対応、早期解消に努める。
・話し合いなどを通して、いじめを考える。
・見て見ぬふりをしないよう指導する。
・自らの意思によって、行動がとれるように指導する。
・いじめは許さないという断固たる教師の姿勢を示す。
・道徳教育の充実を図る。
・特別活動を通して、好ましい人間関係を築く。
・行事等を通して、学級の連帯感を育てる。
(カ)いじめの解消
いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。いじめが「解消している」状態とは、少なくとも、次の二つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。
①いじめに係る行為が止んでいること
被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等から更に長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、学校の設置者又はいじめ対策委員会の判断により、より長期の期間を設定するものとする。学校の教職員は、相当の期間が経過するまでは、被害・加害児童生徒の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。
②被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。学校は、いじめが解消に至っていない段階では、被害児童生徒を徹底的に守り通し、その安全・安心を確保する責任を有する。学校いじめ対策組織においては、いじめが解消に至るまで被害児童生徒の支援を継続するため、支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処プランを策定し、確実に実行する。
いじめが「解消している」状態とは、あくまで、一つの段階に過ぎず、「解消している」状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、学校の教職員は、当該いじめの被害児童生徒及び加害児童生徒については、日常的に注意深く観察する必要がある。
2 重大事態への対処
(1)重大事態への対処の流れ
ア 「重大事態」の意味を全関係者が理解しておく。
イ いじめにより重大な被害が生じた重大事態に至ったという申出が児童生徒や保護者からあったときは、当該学校がいじめによる重大事態ではないと考えたとしても、教育委員会は、重大事態が発生したものとして、報告・調査等に当たる。
学校の設置者及び学校は、詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」という判断はしないこと。
ウ 重大事態が発生した場合、本校は教育委員会を通じて市長へ、事態発生について報告する。
エ 本校は、法第22条に基づく組織を母体とする調査組織「芝富士ケース会議」を設置し、当該重大事態に関する調査を行う。(個々の重大事態により、専門的知識及び経験を有する当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない第三者の参加を図る。)
オ 上記エの調査は、客観的な事実関係を速やかに、正確に把握するための調査である。また、いじめ行為の事実関係を、可能な限り網羅的に明確にするものであり、因果関係の特定を急がない。また、法第23条第2項に基づき、本校として既に調査している事案であっても、重大事態となった時点で、本校は調査資料の再分析や必要に応じて新たな調査を実施する。(ただし、法第23条第2項に基づく調査により事実関係の全貌が十分明確にされたと判断できる場合は、この限りでない。)
カ 上記エの調査に先立ち、アンケートにより得られた調査結果は、いじめられた児童生徒や保護者に提供する場合があることを、調査対象となる児童生徒や保護者にあらかじめ説明しておく。
キ 上記エの調査を行った「芝富士ケース会議」は、明らかになった事実関係をいじめられた児童生徒及びその保護者に適切に提供する。(適時、適切な方法で経過報告、結果報告をする。)
ク 上記エの調査結果は、教育委員会を通じて市長へ報告する。その際、いじめられた児童生徒又はその保護者が希望する場合には、いじめられた児童生徒又はその保護者の調査結果に対する所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果に添える。
ケ 上記クの調査結果の報告を受けた市長は、必要があると認めるときは、市長が設置した附属機関等により調査結果についての調査を行うことができる。
コ 上記ケの調査の主体は、上記ケの調査結果をいじめられた児童生徒及びその保護者に適切に提供する。(適時、適切な方法で経過や結果を報告する。)
サ 市長及び教育委員会は、自らの権限及び責任において当該重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずる。
シ 上記ケの調査を行ったときは、市長はその結果を市議会に報告する。
(2)川口市教育委員会又は本校による調査
【法】
第28条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。 一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。 二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。 2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。 3 第1項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。 |
ア 重大事態の発生と調査
ア 重大事態の発生と調査
(ア)重大事態の意味について
「いじめにより」とは、各号に規定する児童生徒の状況に至る要因が当該児童生徒に対して行われるいじめにあることを意味する。
また、第1号の「生命、心身又は財産に重大な被害」については、いじめを受ける児童生徒の状況に着目して判断する。例えば、
・児童生徒が自殺を企図した場合
・身体に重大な傷害を負った場合
・金品等に重大な被害を被った場合
・精神性の疾患を発症した場合
などのケースが想定される。
第2号の「相当の期間」については、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安に関わらず、教育委員会又は本校の判断により、迅速に調査に着手する。
また、高等学校や市立の小中学校等におけるいじめの事案で被害児童生徒が学校を退学・転学した場合は、退学・転学に至るほど精神的に苦痛を受けていたということであるため、生命心身財産重大事態に該当することが十分に考えられ、適切に対応を行う必要がある。児童生徒が欠席していないことから、不登校重大事態の定義には該当しないため詳細な調査を行わないなどといった対応がとられることがないよう留意する。
さらに、いじめにより重大な被害が生じたという申立てが児童生徒や保護者からあったときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない。」あるいは「重大事態とは言えない。」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。児童生徒又は保護者からの申立ては、本校が把握していないいじめに関する極めて重要な情報である可能性がある。そのことを踏まえ、重大事態としての調査に当たるべきである。申立てについて調査をしないまま、いじめの重大事態でないと断言することはあってはならない。
(イ)重大事態の報告
重大事態が発生した場合、本校は教育委員会を通じて市長へ、事態発生について報告する。
(ウ)調査の趣旨及び調査主体について
法第28条の調査は、重大事態に対処するとともに、同種の事態の発生の防止に資するために行うものである。
本校は、重大事態が発生した場合には、直ちに教育委員会に報告し、本校が主体となって調査を行う。ただし、従前の経緯や事案の特性、いじめられた児童生徒又は保護者の訴えなどを踏まえ、本校主体の調査では、重大事態への対処及び同種の事態の発生の防止に必ずしも十分な結果を得られないと教育委員会が判断する場合や、学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合には、教育委員会において調査を実施する。
本校が調査主体となる場合、法第28条第3項に基づき、教育委員会は調査を実施する本校に対して必要な指導、また、人的措置も含めた適切な支援を行う。
(エ)調査を行うための組織について
教育委員会又は本校は、その事案が重大事態であると判断したときは、当該重大事態に係る調査を行うため、速やかに、その下に組織を設ける。この組織の構成については、専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)の参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保する。
本校における調査において、教育委員会が調査主体となる場合、調査委員会を当該調査を行うための組織とする。なお、この場合、調査委員会の構成員に、調査対象となるいじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有する者がいる場合には、その者を除いた構成員で調査に当たるなど、当該調査の公平性・中立性確保の観点からの配慮に努める。
また、当該学校自体が調査主体となる場合、調査を行うための組織を重大事態の発生の都度設けることも考えられるが、迅速性に欠けるおそれがあるため、いじめ対策委員会を母体として、当該重大事態の性質に応じて適切な専門家を加える。また、必要に応じて調査委員会の委員等を、教育委員会が派遣する。
(オ)事実関係を明確にするための調査の実施
「事実関係を明確にする」とは、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景・事情や児童生徒の人間関係にどのような問題があったか、本校及び教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にすることである。この際、因果関係の特定を急ぐことなく、客観的な事実関係を速やかに調査する。
この調査は、教育委員会と本校が事実に向き合うことで、当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図るものであり、教育委員会又は学校は、調査委員会に対して積極的に資料を提供するとともに、調査結果を重んじ、主体的に再発防止に取り組まなければならない。
① いじめられた児童生徒からの聴き取りが可能な場合
いじめられた児童生徒から可能な限り聴き取った上で、在籍児童生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査を行う際、いじめられた児童生徒や情報を提供してくれた児童生徒を守ることを最優先とした調査実施が必要である(例えば、質問票の使用に当たり個別の事案が広く明らかになり、被害を受けた児童生徒の学校復帰が阻害されることのないよう配慮するなど)。
調査による事実関係の確認とともに、いじめた児童生徒への指導を行い、いじめ行為を止める。
いじめられた児童生徒に対しては、事情や心情を聴取し、いじめられた児童生徒の状況に合わせた継続的なケアを行い、落ち着いた学校生活復帰の支援や学習支援等を行う。
これらの調査を行うに当たっては、国の基本方針の別添「学校における『いじめの防止』『早期発見』『いじめに対する措置』のポイント」を参考にしつつ、事案の重大性を踏まえて、教育委員会及び学校がより積極的に指導・支援する、関係機関ともより適切に連携するなどして、対応に当たる。
② いじめられた児童生徒からの聴き取りが不可能な場合
児童生徒の入院や死亡等、いじめられた児童生徒からの聴き取りが不可能な場合は、当該児童生徒の保護者の要望・意見を十分に聴取し、迅速に当該保護者に今後の調査について協議し、調査に着手する。調査方法としては、在籍児童生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査等が考えられる。
(カ)自殺の背景調査における留意事項
児童生徒の自殺という事態が起こった場合の調査の在り方については、その後の自殺防止に資する観点から、自殺の背景調査を実施することが必要である。この調査においては、死亡した児童生徒の尊厳を保持しつつ、その死に至った経過を検証し再発防止策を講ずることを目指し、遺族の気持ちに十分配慮しながら行うことが必要である。
いじめがその要因として疑われる場合の背景調査については、法第28条第1項に定める調査に相当することとなり、その在り方については、次の事項に留意し、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」(平成27年3月児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議)等を参考とするものとする。
① 背景調査に当たり、遺族が、当該児童生徒を最も身近に知り、また、背景調査について切実な心情を持つことを認識し、その要望・意見を十分に聴取するとともに、できる限りの配慮と説明を行う。
② 在校生及びその保護者に対しても、できる限りの配慮と説明を行う。
③ 死亡した児童生徒が置かれていた状況として、いじめの疑いがあることを踏まえ、教育委員会又は学校は、遺族に対して主体的に、在校生へのアンケート調査や一斉聴き取り調査を含む詳しい調査の実施を提案する。
④ 詳しい調査を行うに当たり、教育委員会又は本校は、遺族に対して、調査の目的・目標、調査を行う組織の構成等、調査の概ねの期間や方法、入手した資料の取扱い、遺族に対する説明の在り方や調査結果の公表に関する方針等について、できる限り遺族と合意しておくことが必要である。
⑤ 調査を行う組織については、専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有する者ではない者(第三者)について、職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保するよう努める。
⑥ 背景調査においては、自殺が起きた後の時間の経過等に伴う制約の下で、できる限り偏りのない資料や情報を多く収集し、それらの信頼性の吟味を含めて、客観的に、特定の資料や情報にのみ依拠することなく総合的に分析評価を行うよう努める。
⑦ 客観的な事実関係の調査を迅速に進めることが必要であり、それらの事実の影響についての分析評価については、専門的知識及び経験を有する者の援助を求めることが必要であることに留意する。
⑧ 本校が調査を行う場合において、教育委員会は、情報提供について必要な指導・支援を行うこととされており、教育委員会は適切に対応する。
⑨ 情報発信・報道対応については、プライバシーへの配慮の上、正確で一貫した情報提供が必要であり、初期の段階で情報がないからといって、トラブルや不適切な対応がなかったと決めつけることや、断片的な情報で誤解を与えることのないよう留意する。なお、死亡した児童生徒の尊厳の保持や、子供の自殺は連鎖(後追い)の可能性があることなどを踏まえ、報道の在り方に特別の注意が必要であり、WHO(世界保健機関)による自殺報道への提言を参考にする。また、「彩の国 生徒指導ハンドブック」の「Ⅱ 自殺予防対策編『資料』」も参考にする。
(キ)その他留意事項
重大事態が発生した場合に、関係のあった児童生徒が深く傷付き、本校全体の児童生徒や保護者、地域にも不安や動揺が広がるおそれがあり、時に事実に基づかない風評等が流れる場合もある。教育委員会及び本校は、児童生徒や保護者への心のケアと落ち着いた学校生活を取り戻すための支援を第一に努めるとともに、予断のない一貫した情報発信、個人のプライバシーへの配慮に留意する。
イ 調査結果の提供及び報告
(ア)いじめを受けた児童及びその保護者に対して情報を適切に提供する責任
【法】
第28条第2項 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。 |
教育委員会又は本校は、いじめを受けた児童生徒やその保護者に対して、事実関係等その他の必要な情報を提供する責任を有することを踏まえ、調査により明らかになった事実関係(いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景・事情や児童生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなど)について、いじめを受けた児童生徒やその保護者に対して説明する。また、適時、適切な方法で、経過報告も行う。
これらの情報の提供に当たっては、教育委員会又は本校は、他の児童生徒のプライバシー保護に配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供する。ただし、いたずらに個人情報保護を盾に説明を怠るようなことがあってはならない。
質問紙調査の実施により得られたアンケートについては、いじめられた児童生徒又はその保護者に提供する場合があることをあらかじめ念頭に置き、調査に先立ち、その旨を調査対象となる在校生やその保護者に説明する。
また、本校が調査を行う際、教育委員会は、情報提供の内容・方法・時期などについて必要な指導及び支援を行う。
(イ)調査結果の報告
調査結果について、市立学校に係る調査結果は、市長に報告する。
上記(ア)の説明の結果を踏まえて、いじめを受けた児童生徒又はその保護者が希望する場合には、いじめを受けた児童生徒又はその保護者の所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果の報告に添えて市長に送付する。
(3)調査結果の報告を受けた市長による再調査及び措置
【法】
第30条第2項 前項の規定による報告を受けた地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第28条第1項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。 |
ア 再調査
法第30条の規定による報告を受けた市長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、法第28条第1項の規定による調査の結果について調査(以下「再調査」という。)を行うことができる。
再調査は、市長が設置する附属機関「川口市いじめ問題再調査委員会」(以下「再調査委員会」という。)が実施する。教育委員会または学校による調査同様、再調査委員会は、いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対して、情報を適切に提供する責任があるものと認識し、適時・適切な方法で、調査の進捗状況等及び調査結果を説明する。
イ 再調査の結果を踏まえた措置等
市長及び教育委員会は、再調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずる。
また、再調査を行った場合、市長はその結果を市議会に報告しなければならない。市議会への報告等にあたっては、個々の事案の内容に応じ、個人のプライバシーに対して必要な配慮を行うものとする。
第3 その他いじめ防止等のための対策に関する重要事項
市は、法の施行状況等を勘案して、対策協議会において毎年度、川口市立芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針にある各施策の効果を検証し、川口市立芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針の見直しを検討する。検討の結果、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じる。(軽微な改正については、対策協議会において検討し、改正を図ることとする。)
また、市は、本校における川口市立芝富士小学校いじめの防止等のための基本な方針について策定状況を確認し、必要に応じて公表する。
<資料>いじめ防止のための年間計画
川口市立芝富士小学校
行事・活動等 | |
4月 | 登校あいさつ指導、生活ふりかえりカード①
いじめ防止等のための基本的な方針の策定、周知、確認 ネットトラブル防止ルール 各学年の策定、周知、見直し |
5月 | なかよし遊び班編成(各月1回実施) |
6月 | 授業参観・保護者会、学校・学級生活アンケート① |
7月 | 児童会による『いじめゼロ活動』の話合い |
9月 | 登校あいさつ指導、個人面談、生活ふりかえりカード②
児童会による『いじめゼロ活動』の呼びかけ 児童集会「言われてうれしい言葉」紹介 ネットトラブル防止ルール 各学年の策定、周知、見直し |
10月 | ネットトラブル防止教室(高学年)
児童会による『いじめゼロ活動』の呼びかけ |
11月 | いじめ防止児童集会(全学年)学校・学級生活アンケート②
児童会による『いじめゼロ活動』の呼びかけ |
12月 | 授業参観・保護者会、児童会による『いじめゼロ活動』の呼びかけ |
1月 | 登校あいさつ指導、生活ふりかえりカード③、
児童会による『いじめゼロ活動』の呼びかけ |
2月 | 薬物乱用防止教室(5・6年)、授業参観・保護者会、学校・学級生活アンケート③
児童会による『いじめゼロ活動』の呼びかけ |
3月 | 児童会による『いじめゼロ活動』の呼びかけ |